とっちら

好きなことを取っ散らかします。

2018年3月

 3月のまとめです。

ひとり空間の都市論 (ちくま新書)

ひとり空間の都市論 (ちくま新書)

 

飛ばし読みした。わたしが興味あるのって都市じゃなくて都市に興味がある人だなと気づいた。

 

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

生きがいについて (神谷美恵子コレクション)

 

 つらかった日に泣きながら友人と話していたら友人がその場で買って贈ってくれた。読み途中。

 

るきさん (ちくま文庫)

るきさん (ちくま文庫)

 

 友人が貸してくれた、めちゃくちゃいい……。るきさんの自由さは周りをも自由にする自由さだと思った。いいなー……。友人えっちゃんとの関係性も非常によくて、ふらっとお互いに行き来できる関係。こういう友人のいる生活は幸福だなと思う。氷室冴子さんによる解説も、短いながら『るきさん』の世界をすごくよく表していていいなあと思いました。自分でも買おうかな。

 

暇と退屈の倫理学 増補新版 (homo Viator)
 

 買って読み進めている。國分先生、一人称俺なんですね……(よい)。

 

大丈夫、働けます。

大丈夫、働けます。

 

 タイムラインで何度か見ていて気になっていたので。バイトの面接を受けた帰りに、書店でぱらぱら見たら思っていたよりグッときてしまい、買った。大丈夫になりたい。

 

でも、ふりかえれば甘ったるく (PAPER PAPER)

でも、ふりかえれば甘ったるく (PAPER PAPER)

 

 知っている人が2名寄稿していたので買った、横書きでびっくりした。思っていたのとはちょっと違っていたけど、新しく好きだなと思う文章を書く人を見つけられてよかった。まだ読み途中。

 

緑の庭で寝ころんで

緑の庭で寝ころんで

 

 書評部分以外読み終えた。この著者の音楽に関する表現がほんとうに好きなんだけど、同じように感じている読者がいるんだなーと思った。この本に関連したnoteも書いた。

note.mu

 

・3月は、読みかけの本を読み終えたり、新しく本を仕入れたりした。退屈になることがこわかったので、それに備えた本選びをしてみた。結果わりと退屈にならずにすんだので正解だった。

・暇つぶしのひとつとして、つくりばなしというカテゴリで事実ではない話を書き始めた。これについて、小説を書いている友人が面白いと言ってくれたのがめちゃくちゃ嬉しかった。話を作るという形での感情の昇華があるんだなーとわかったので今後もやってみたい。

・note使ってる人と話して、あー使ってみたいなと思ったので、久しぶりにnoteを使い始めた。日記を書いたりしている

・先月「3月中にバイト決めたい」などと言っていたのですが決まりませんでした、まあのんびりやる。今年度いっぱいでケリつけようと思ってたことは全部終わらなかったんだけど仕方ないですね。持ち越すぞ。

記憶の濃度

記憶の濃度の話をしたい。

 

ひどく調子の悪かったとき、わたしは文房具の陳列棚の前で立ち尽くしたことがある。何を買うかもあらかた決まっていたのに、そしてそのペンが並んでいる棚の前に立ったのに、「たくさん並んでいるものの中から特定のペンを選ぶ」という行為ができず、急に「わたしはここで何をすればいいんだっけ」「それはどうやったら達成できるんだっけ」と、ぽかーんとしてしまったのであった。そのあと、こんな簡単なことができなくなっていることにぞっとして、帰宅してから少し泣いた。

調子が悪かったときに起きた様々な不具合の記憶は強烈で、なかなか忘れられず、同じようなことをするときにはきまって緊張が訪れていた。今でこそ落ち着いたものの、公共交通機関を利用するときにも不安だったし、人と簡単な約束をかわすのにも、守れるかわからず胃が痛くなった。

 

忘れずにいたいのは、それら嫌な記憶の濃度は下げられるということだ。

ある行為を何度も行えば、分母が増える。いくら強烈であったとしても、一度の失敗は1でしかないので、どんどん確率的には小さくなっていく。やり続けることで、失敗した思い出の濃度が下がっていく。そういう話がカウンセリングの中でなされた。

濃度が高いうちは怖いけど、それに負けず、あるいはときには負けつつも、繰り返して嫌な記憶を薄めていく。そういう作業が必要なんだと思った。

 

嫌なこと以外についてもこの濃度の話はできてしまうから、わたしはできる限り多くの1回を書き残したいと思っている。また次にその行為をすることをためらわないためにも。

質問

 こんな質問をするのは、きっと応えてくれると思える人にだけなんだけど。あなたはどんな時間が好きですか。

 

 わたしが一番好きな時間はですね、たぶん、誰かと一緒に歩いている時間です。それはスカイツリーに向かう道であったり、スーパーに向かう道であったり、喫茶店に向かう道であったりする。

 

  とりわけ好きなのが、帰り道なんです。1対1でも、複数人でもいいんですけど、ひととおり会が盛り上がって、そのあと。一番近くの駅に着くまでの時間。解散が始まって、終わるまでの時間です。なんだか名残惜しくてゆっくり歩いてしまったり、はたまた寂しさを予期して逃げるように足をはやめたり(それはむしろ向かっていることになるんですが)。その時間がすごくすごく愛しいんです。早くて夕暮れ時、遅ければ夜中。

 

 帰ってから、その幸福感がよみがえって、思わず泣いてしまったこともあります。ああ、楽しかったな、と、もっと一緒にいたいな、が混じり合う時間。なんだか奇妙な間があいてしまうこともある時間。行きよりもたいてい、少し親密さの上がった、横並びになる時間。なんなら会の本体よりも、この時間のほうが楽しみかもしれません。

 

 そのあとに寂しさが待っているからといって、そのときの楽しさは消えないんですよね。それら両方をふくむ、帰り道がすごく好きです。これを読んでくれたあなたとも一緒に歩きたい。会いましょう。そして帰りましょう、それぞれの住処へ。

 

 あなたはどんな時間が好きですか。

15と最後を待つ

好きな人はあんまりツイートをしない。数日に1回、読点すら入る余地のないごく短いツイートをするだけ。そのかわりに、毎月15日と最終日に、長めのブログを更新する。たぶん3000字はある。寝る前に電気を消して、ベッドに入り、スマートフォンの光を弱めて好きな人のブログを読む。それがわたしの趣味だ。

 

その人のブログは、ほんとにただの日記。映画を観たらしい日のところには、その映画の感想。なんでもない日のところには、スーパーで買い物をしたとか、そういうことが書いてある。たくさん寝た、とかの日もある。インターネットで日記を書いているわりに、地域のスーパーとか本屋に行っているところが好きだ。たまにバッティングセンターにも行っているみたい。わたしは運動音痴で、自主的に運動をしようなんて思ったことないんだけど、その人の文章が気持ちよさそうなので、バッティングセンターなら行ってみたいかも、と思っている。バッティングセンターでバットを振るのは運動に入りますか?

 

好きな人には会ったことがない。性別も知らない。人格に期待しているわけでもない。ただ、わたしはその人の生活の一部を共有している。


日記の内容は嘘かもしれない。よく考えたら妙に端整すぎる気もする。でも、その人が、日記のようなものを書いているということは事実である。そしてそれを書くことが生活の一部になっていることも、事実である。そして、その人の生活の一部を見ることが、わたしの生活の一部になっているので、ある。


あ、AIとかだったらどうしよう。わたしの好きな人はAIになるのかな。まあそれでもいいか。なんかだんだんAIな気がしてきた。思えば思うほどAI。会いたいわけじゃないからなにも困らない。わたしの生活の一部をとりあげないでくれればそれでいい。ずっと日記を書き続けてほしい。あなたの生成する文章が好きです。

わかれめ

「こんばんは」「こんばんは」「お久しぶりですね」「ね。……ピアス?」「ううん、イヤリング。道具屋でもらったんだけど、」「道具屋?RPGかな?勇者かなにか?」「違うよ、古道具屋。」「あーはいはい。買ったんじゃなくてもらったの?」「うん。古道具屋で、置いてあって。片耳だからご自由にどうぞって」「あー、なるほど、かたっぽしかないわけね」「でも無料ってすごくない?こんなにかわいいのに。なにか他のを買わなくてもいいのかって聞いちゃった、全然かまわないって言われたから、もらったの」「ふーん、そう」

 

その人はピアスかどうかという事実確認をしただけで、それ自体に対して感想を述べることはなかった。そういえば、その人にはピアスと腕時計をもらったことがあったのだった。ピアス穴のあいていないわたしは、文字盤がピンクのその腕時計をとくに大切にしていて、いっときはお守りのように身につけていたはずだ。

 

その人と会った日、わたしは、自分で手に入れたイヤリングと細い指輪、そして、他の人にもらった、文字盤がゴールドの腕時計をつけていた。そう気がついたのは、会ってから5日が過ぎた、やたら春めいた日のことだった。

 

2018年2月

 

みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?

みんな、どんなふうに働いて生きてゆくの?

 

 読みかけだったのを読み終えた。料理人松國栄一さんの、仕事へのスタンスがおもしろいというか、自分もこういうふうになりうるなあという気がした。「今の仕事を、気持ちを折らずにつづけていかないと、僕は生きてられない。僕にとって生きるというのは、死なないようにすることです。そういう人が仕事をしてるということも、多々あると思うんですよ。(p.237)」

 

静かな雨

静かな雨

 

 再読。この装丁すごく好き……。これ買ったときに宮下奈都さんにサインをいただいたのだった。

 

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本

赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア: 自分を愛する力を取り戻す〔心理教育〕の本

 

 よい噂を聞いていたので読んだ。キャラクターを用いることで非常に理解しやすくなっていて、特に回復していくために踏むプロセスが細かく説明されているのがよかったと思う。支援者被支援者どちらが読んでもよいのではないか。そういえば、サバイバーについても述べられていたのが印象的だった。サバイバーであり支援者である人、結構多い気がしていて、自分も最近までそのルートを辿ろうとしていたので……。

 

たった、それだけ (双葉文庫)

たった、それだけ (双葉文庫)

 

 これも再読。宮下作品に描かれる感情の、なんというかこうこもった感じのリアリティはすごいよなあと思う。一筋縄ではすっきりさせてもらえないが、でも暗いわけでもない。

 

基礎講座 哲学 (ちくま学芸文庫)

基礎講座 哲学 (ちくま学芸文庫)

 

 だいぶ前に買って積んでたのをちょっとずつ読み始めた。哲学、間違いなく好きなんだけどきちんと履修してたのは倫理学だけで、ばらばらにしか学習していなかったので、流れを掴みたかった。今はまだ人類の始まりのところを読んでいて、すでによくわかんない。けど何回か読んだらわかるかな〜という気がする。

 

ハチクロ、初めて読んだのはいつだったかな……10年ぶりくらいに読んだら、主人公たちと年齢が近づいたのもあって共感の嵐だった。一方通行だらけの恋愛とかなんか……漫画で読むとこんな感じなんですね……。物語における救済、他者との関わりが主になっているものをよく見かけるのだけど、竹本くんの立ち直りはもちろんそういう部分もありつつ、しかし自分の足によるものだったのがかなりよかった。 

 

ひとり空間の都市論 (ちくま新書)

ひとり空間の都市論 (ちくま新書)

 

 読みたくて触るところまではいけた。

 

・2月は、1月に予定していた物事には結局参加できなかった。久しぶりに1週間ぐらいダウンするなど、なんとなくしんどい時間も多かった。これ多分仕事探さなきゃな〜といろいろしていたからだと思う、めちゃくちゃある選択肢から自分だけを基準に物事を絞っていくのが苦手。

・数年ぶりの友人と複数会ったり、気になっていたイベントに参加したりもした。soarの物語に関するイベントでは、改めて書くことの目的を問わなきゃならない場合について考えたりした(普段は書くこと自体が目的なのであまり考えてない)。Remeのメンタルヘルス×働き方のイベントでは、あ〜やっぱり自分の症状とかその他をもうちょっと人に伝えられるように言語化しないとね……と思った。自分でも取り扱いに困っている身体は、他人にとってはもっと取り扱いが難しいよな……。

・今月はほぼ一人暮らし状態だったのだが、やっぱあんまり向いてないなと心底思った。やるべきことが少ないのもあってどんどん生活リズムが崩れていってしまう。もうちょっと自分に気をつかえるようになるか、他人と住むかだな……、様々な分担ができるという点で他人と暮らすのは好ましいが、いつでも歌ったり人と話したりできるという点では1人サイコーと思った。

・いろいろ悩んだり1人で考えるとぐるぐるしてしまうこと、人に話させてもらいながら解消に向かえた月だった。自分は声に出しながら考えるのが、一番本心に気づきやすいっぽい。書いて出すのもやったけど、話すほうがより嘘をつかない、あるいは嘘をつく瞬間がわかってよい。

・3月はバイト先を決めたいな。バイト募集のツイートをしたら、ほぼお話ししたことない人を含む数人がリツイートやいいねをしてくれて、めちゃくちゃありがたかった。

三畳分の生活

 三畳プラスアルファで生活している。プラスアルファというのは、狭い意味では収納で、広い意味では銭湯とかカーシェアリング、レンタサイクルにスーパー、コンビニ、花屋、などを指す。


 寝られればいいから部屋は三畳もあれば十分で、だいたいのものは人と共有するから収納も余るくらいだ。車や自転車は出かける休日にあればいいし、小さい風呂に手足を縮めて入るぐらいなら数分で着く銭湯の大浴場に浸かりたい。掃除も大して必要ないし、どうしても大掃除?がしたくなったら家事サービスに頼めばいい(この狭さでも頼めるのかは、頼んだことがないから知らない)。料理は暇つぶしになるからたまにしていて、そのときのためにオーブン・レンジ・トースターを兼ねるやつがひとつ。キッチンスペースを借りるほどじゃないし。冷凍庫つき冷蔵庫は一番小さいサイズを買った。近くに24時間開いてるスーパーがあるから、ほんとは冷蔵庫もなくていいんだけど、作ったものの保存とか、調味料の保存とか。冷凍もほぼ同じ用途。髪をいじるのも狭い流しと姿見があれば問題ない。洗濯はコインランドリー。干すのは狭いけどベランダあるし、布団もなんとか。あ、トイレも共用。


 これよりでかい部屋に住んでる人って、いったい何を置くんだろうか。でかいテレビとかソファ?映画やドラマは配信サービス使って、でかい画面で見たかったらプロジェクター使えばいいしなあ。床に寝転がって見れば野外上映みたいな気分だし。あー、デスクとかワークチェアとかか。コワーキングスペース行けば解決。本は電子書籍で買うか、買って読んだらフリマアプリですぐ売っちゃう。あとは図書館。音楽はストリーミングサービスで聴けるし。


 他には……なんだろう?なんていうか、欲って環境にその規模を規定される気がする。三畳に住んでたら、三畳分の欲。それ以上あってもここには入らないし、全部をここにしまう必要もない。だから、風呂も洗濯も交通手段も外付けでいい。食料と花は保存しとくけど、食料は必要だからでしょ。花は、まあ、文化かな。香りと美しさはまだシェアしたり借りたりできないし、俺たちはバラも求めなきゃ。