とっちら

好きなことを取っ散らかします。

妄想ラブレター

お久しぶりです。突然手紙を書いたりしてごめんなさい。これが無事あなたのところに届いたのなら、今さらなにを、とびっくりしたと思います。もう引っ越しているかもしれないね。本当はちょっと引っ越していてほしいです。

中学生になった姪が、好きな人に手紙を書くということで、添削を頼まれて。添削って、そんな、ラブレターはきちんと気持ちを伝えればそれだけで十分なのに……と思ったけど、一応見て。誤字脱字だけ確認したときに、はたとあなたのことを思い出しました。元気にしていますか。

 

わたしは、あなたが校閲しているのを見るのが好きでした。気に入ったペン、気に入った消しゴム。さんざん吟味して、一番いいと思ったものしか使わない、そういうところも好ましく思っていた。落選したものは全部わたしのところへ回していましたね。今もボールペンはゼブラのサラサが1位なんですか?

今だからわかるけど、わたし、あなたといるときはいつも、「キチッとしていなければ」と思っていたようです。あなたは気にしなくていいと言ったけど、どうしても、「間違ったら呆れられるのでは」と思ってしまって。一緒に仕事をするうえでは本当に頼もしい、その目で見られることに緊張していた。別にあなたは、わたしが正しいから好きになってくれたわけじゃないのにね。

すぐメールを打ち切って電話にしたがっていたのは、口頭でなら間違いがあっても許されるかなと思っていたからです。文字に残ると、どうしても仕事を思い出しちゃうかなって……。そういうことすら相談できなかった。聞けば早い話でした。すみません。

 

わたしは今も編集をしています。今度、校閲を長くやっている方が、うちで本を出すことになりました。その担当をする予定です。あのときは不得意だった構成も、ちょっとはマシになっていると思います。

無事に完成したら、送ってもよいでしょうか。転職を重ねるうちに、編集を始めた頃の自分を知っている人とはだんだん遠くなってしまって。最初の最初を知っているあなたに、目次だけでもぜひ読んでほしいのです。目次を読んだら全部読みたくなるようなものを、みなさんと協力して、きっと作ります。

 

そろそろ終わりにしようと思います。誤字脱字は確認しましたが、表記ゆれは見逃しているかもしれません。赤字を入れて返送してくれてもかまいません。

落選するのがこわくて自分から降りてしまいましたが、あなたのことが本当に好きでした。ありがとう。健康を祈ります。

 

 

 

shibuyaso.com

これを読んで、なんか書いてみようかなと思ったので。