サラリーマンふたり:パワーポイント
「パワポって」
「うん」
「パワーポイントなわけじゃないですか」
「うん」
「あの、スライドつくるアレのどこがパワーポイントなんでしょう」
「……ん?」
「いやだからあの、パワーポイント」
「どこがと言われれば、まあ全てが」
「いやだって、パワーポイントですよ?パワーの、ポイント。パワーポイント」
「それはなに、パワポのパワポたる所以を知りたいってこと?それともいかにパワポがパワーでポイントかを知りたいの?」
「どちらかといえばパワーのポイントが知りたいです」
「パワポのパワーのポイント?」
「パワポのパワーのポイント。」
「パワポのパワーのポイントは、そりゃあやっぱりアレじゃないの、動くやつ」
「アニメーション」
「アニメーション」
「だったら、パワポじゃなくてアニメでよくないですか?」
「いや、パワポのパワーのポイントはアニメーションだけど、パワポがアニメーションってわけじゃないからさ」
「言われてみれば、そうですね」
「パワポと言ったらアニメーションだけど、アニメーションと言ったらパワポではない、言うならばアニメはパワポの必要条件だ」
「必要条件」
「必要条件」
「それ合ってます?」
「わからない」
「あと、今更あれなんですけど、パワポでそんなアニメーション使います?」
「使わないの?」
「おしゃれな人ほどあんまり使わない印象なんですけど」
「マジで。小学生の頃とか俺グイングイン使ってたけどな」
「小学生の頃だから」
「小学生の頃だからか。じゃあパワポのパワーのポイントってなんなんだろうな。」
「パワポのパワーのポイント?何言ってるんですか先輩」
「えっ」
「冗談です」
「お前時々怖いわ」
「パワーを動かすポイントなんですかね、もしかして」
「びっくりするくらい俺の感情を無視するね君は。で、なんだって?」
「なんか、こう、パワーって権力とかの意味もあるじゃないですか、それを動かすのがこのポイントだ、みたいな」
「パワポによって決定が左右されるってこと?」
「そういう感じです。パワーを動かすポイントになるのがパワーポイント」
「急にそれっぽくまとまった。アニメーションのくだりなんだったの恥ずかしい」
「まあプレゼン時に強い印象を与える力点になる、っていうのが由来らしいですけどね、ググったら」
「ググってたのか」
「はい。あ、先輩、」
「それはわかるんですけど、googleの由来ってなんなんでしょうね」
「もう勘弁してくれ」