とっちら

好きなことを取っ散らかします。

落語を初めて聴いた日(渋谷らくご 2014年12月14日20時回)

初めて落語を聴きに行った日、帰ってきてから書いた感想。いま読み返しても、話しているときの雰囲気を思い出せるのがすごい。それだけインパクトが大きかったんだろうなあ。そして流れがとってもよくて、なるほどチームプレーだなあと思ったものでした。最初にこの感動を味わえてよかった。

どのくらいまでのネタバレがオッケーなものか、ラインがわからなくて公開してなかったんだけどさすがに約1年たてばいいでしょう…いいよね…?いいかな…?以下本文ほぼそのまま。

 

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 いやー落語良いっすわ。画質悪いのはごめんね。

 
 最近壇上で行われる物に興味があって、ほんとはなんかしらの舞台とか見に行こうかなあと思ってたんだけど、ちょうどいいところにリツイートが回ってきていたのと、学校の行事がずれたのとが重なって、渋谷らくごの夜の回を見に行ってきました。

 いやもう、ほんと良い2時間でした。最初の1時間でふたつあって、3分間だけの休憩があって、またふたつ。とても良かった…終わったあとはほんとに茫然としてしまって、なかなか立ち上がれなかった。他のお客さんはさくさく立って帰っていてすごいなあと思った。みんな、引き込まれてすぐ元の世界に帰る事に慣れているのだろうか。わたしは日頃そういう入り込む系の物からはわりと離れているみたいで、一度入り込んでしまったらなかなか戻って来れない。

 
 春風亭正太郎さんの「堪忍袋」。正直全然話わかんなかったらどうしようと思っていたので、多少なりとも知ってる話から始まって安心。本題の前にまくらという導入があるんですが、それが学校で講演したときの話でなんだか懐かしかった。給食のときとか面白い事いうと牛乳吹いちゃうんですよね、とかね。まくらから本題入るのがスムーズでどうやって話が終わったのかよく覚えてない。
で、堪忍袋のお話。夫婦喧嘩の様子もとても面白かったし、劇みたいだなあと思った。奥さんの役の演じ分けがよかった。夫が皮肉を言うんです→思ったまま言っただけだ、皮肉ってのはこうだろ!で、最後のオチが皮肉。よかった。ちょっとおさるさんみたいな明るくて親しみやすい人だなあと思った。

 

 その次が橘家圓太郎師匠の「浮き世床」。この人の声、まさにイメージする落語家って感じの落ち着く声だった。おお、って話始めで思ってしまうような。某高校での話、ニッポンの優秀な外交官の話がまくら。外交官の話好きだったなあ、すごいナチュラルに片言なの。笑

 話自体はとても想像力を使ったかんじ。太閤記をてぇこうき、っていうのね。で、真っ向がまつこう。「まつこう!」「へい!」っていうやり取りはもうわかってるのに何度やられても好きだった。笑 オチがこれがほんとの抵抗記。どうやって収拾付けるんだろうと思ってたからよかったなあこのおさまり方。いい感じのおじちゃんって感じの人だった。
 
 3分間だけのインターバル。ここでざわざわする相手が本当にほしかった。飲み物を飲んだりして休む。よく集中力もったなーと思うと同時に、ここで3分休憩なかったら後半もたないよなあ、よい休憩だなあと思う。

  

(写真はこの回のじゃないよ!橘蓮二さんは他にもかっこよすぎるお写真をたくさん撮ってらっしゃるのでぜひ見てほしい) 
 
 そして神田松之丞さんの「トメ」。この人は講談師さん。今日は赤穂浪士の討ち入りの日だから、大体講談といえばそういう話になるんだけど初心者の人も多い中でそんなんやってもわかんないでしょう、ということで新作やりましょうと。
 
ああ違う違う、入ってきてすぐにね、なんだか堅そうな人だなあと思ったんだった。けっこう厳しそうな顔というか雰囲気というか。それがもう喋り始めたら雰囲気違う違う。今日3席目だったらしいしハイになってたのかなあ。「前の兄さんたち、まくら長過ぎません?」って言って、「ビビってるんですよ」と。散々言った後に、「今、足震えてます」と告白。もうそのあたりからこの人の話し方とても好きだなあと思った。で、長めのまくらでスラムのような小屋の話とか、10分の6がインド人とか、小唄の話とか、よかった。そうね、ある意味ピン芸人ぽいというか。着信がきたところをびゃーん。
 
 そして、本題ね。80のおじいちゃんが奥さん、トメを起こすのね。そんで、「俺、男として何点だ?」って。もうこの時点で面白い。「ちなみに俺はトメのこと90点だと思ってる」。笑 マイナス10点は優しすぎるせい。笑 で、それに左右されず65点をつける男に厳しいトメさん。笑 王貞治はもっと低いらしい。笑 で、得点が上がるエピソードとして佐藤上等兵の話。これは語り継いだ俺もすばらしいってことで話したらしい。そんで最後、眠れないときは好きな物数えろー、と。ひつじ、だんご、佐藤上等兵の団子、さいごにトメ。ここでポイント上昇。薬局あいてたっけな、とトメさん。ほんとおもしろかったこれ。もう一回聴きたい。なんども聴きたい。落語とかを楽しめるかどうかは、政治宗教がめちゃくちゃ言われても、下ネタが挟まっても大丈夫かも大事なポイントだと思う。笑
 

(これも写真は別の回)

 
 最後に、春風亭一之輔師匠の「子別れ」。もうこれはググったら噺の内容は出てくるからあらすじは書き覚えておくこともない、というかメモしなくても忘れないようなかんじなんだよな心の中で。さんざんさっき松之丞さんがまくら長いのをディスった後の、まくら無し。席への感謝を一言述べてすっと噺に入る。飲んべえがいて、奥さんと子が出て行って、花魁がいたけど出ていかれて。酒をやめて働いて…このあたりであ、これ泣ける話だろうなと気づく。盛り上がりどころがいくつもあって、そのたびに涙が出た。演じるのが本当に上手だなあと思った。演じ分けが上手な方ばかりだった。最後、ひとつの映画を見たような感動。会場の拍手。静かな語り、だけど感情の起伏のよくわかる語りだった。