とっちら

好きなことを取っ散らかします。

ヤマシタトモコ『違国日記』

 

違国日記(1) (FEEL COMICS swing)
 

 

先日、相互フォローの方が主催していたサタデーマンガフィーバーというイベントに参加した。おやつつきで、主催の方のおすすめ漫画がちょっとしたガイドとともに1巻だけ楽しめる!というもの。そこで読んだヤマシタトモコ『違国日記』が非常によくて、今日買ってきた。

 

 

2話のみ試し読みができて、これを読んでもらったら設定はあらかたわかると思う。父母を亡くした女子中学生の朝が、叔母である少女小説家の槙生に引き取られる。ていうかわたしは2話が超超超好きなのでとりあえず読んでもらっていいですか?

 

comic.pixiv.net

 

読んでもらえましたか?以下ネタバレ含む2話についての感想を話していいですか。話します。

 

わたしは朝の「たらいってどうやって書くんだっけ」以下のやりとりがすごく好きで。槙生ちゃんは自分の姉、つまり朝の母のことは大嫌いで、でもでも朝がいま不当な扱いを受けているということをはっきりと言ってくれる。「あなたは 15歳の子供は こんな醜悪な場に ふさわしくない 少なくともわたしは それを知っている もっと美しいものを 受けるに値する」。ここを読むたび何度でも泣いてしまう、わたしが泣くことはこの作品の価値とはまったく関係ないのだが、何度でも泣いてしまう。朝にかけられた力強い目とその声、きっとすこし無骨で大きいだろうその手が、15歳のわたしをも守ってくれるように感じる。そのあとたらいの字を教える槙生の吠えるような顔。好き……。

 

さらに1話と3話にもすごく好きなシーンがあるのでその話をしていいですか?します。

 

1話でね、朝が執筆モードの槙生のことを「ちがう国にいる」と称するのがすごく好き。わたしは人が自分の世界に入り込んでいるのを眺めているのがすごく好きで、それをモードに入っているとかって言い方をしていたのだが、まさに、まさに「ちがう国にいる」だ。こんなに適切な言い表し方があったのか!とめちゃくちゃ驚いた。ちがう国にいる人の近くで眠る心地よさをわたしは知っている。

3話、3話にもすごく好きなシーンがあって、日記を書くと言ってみたものの書き出せない朝に対して、夕日の差す中で、「日記は 今 書きたいことを 書けばいい 書きたくない ことは書かな くていい ほんとうのことを 書く必要もない」と槙生ちゃんは言うのだ。槙生ちゃんのまっすぐな言葉はころんとそのまま入ってくる。文字通り。その槙生ちゃんの強さと繊細さのバランスがもう……もう……不器用さも……。

 

すごく好きな漫画になりました。続きが楽しみ。先のイベントで読んだ中だと、他にも売野機子ルポルタージュ』がよかったな……。

 

 

今、本や漫画を買うときにどう買うかすごく迷っている。どうしても画面上だと目がすべってしまって、さくっと読めるのだけどあとに残りにくい。本だと友人と貸し借りができるのもいい、しかし部屋でどんどんかさばっていく……。ただ、やっぱり物量を感じて読みたいものというのはあって、わたしはそんなに頻繁に書籍を買うわけではないので、もうしばらくは本という形態で買ってもいいのかなと思った。しかし今度はどこで買うか迷うんだよなあ〜。