とっちら

好きなことを取っ散らかします。

2021年7月

7月、暑かった〜〜〜〜湿度もすごかった〜〜〜今もすごい。

 

 読み切らずに返却してしまわなくてよかった!初恋の楽園って書いてあるけど実際はある被害を受けた女性2人の話(性虐待・DVなど)が中心。先月は1章中盤ぐらいまでしか読めてなかったんだけど、そのちょっと後から読みやすくなってきた。いろいろ思うことがあったので、以下ちょっと長めに書く。

小説の中心となっているのは、高級マンションに住む美しく文学の好きな少女・思琪(スーチー)とその幼馴染の少女・怡婷(イーティン)、そして同じマンションに住むこれまた美しく学のある20代の女性、伊紋(イーウェン)の話。

思琪は13歳のときから、同じマンションに住む50代の男性国語教師に性虐待を受けている。伊紋は、優秀でハンサムな夫によるDVの被害に遭っている。主にはこの2人が何を思いどうするか・どうなるかという話(めちゃくちゃざっくり)。

この加害者の教師とその同類たちの会話なんて本当に醜悪なんだけど、その思考や行動は比較的さっぱり書かれているので読めてしまう。なんかこう、その辺りの話はすごい引きの視点になっているというか、自分が存在しない・自分とは関係のない話みたいに書かれているからなのかな。あとは、「加害者自身が加害のことをなんとも思っていない」のが反映されている気もする。

最初は読みづらかった古典の引用や頻出する比喩も、なんとなく読み流せるようになったり、意味がとれるようになったりした。「AはBだ。XXXX(具体的説明)〜」って説明があった後、しばらく経ってから「B」という言葉出たらおそらく「A」の意味で出てきているとか、文章そのものの意味がわからないな〜と思う箇所については、大体その文章のそのままの意味とは少しずれたことが意味されていると示すような登場人物のやりとりが作中で何回かあって、それがこの小説の文章そのものにも生じているんだなとだんだんわかるようになった。

とにかく比喩が至る所にあるから、おそらく古典の引用も、その場面に直接は書かれていない何かを暗に示す機能があるんだと思う。登場人物の賢さとか、また賢さをひけらかす様子として書かれている部分もあると思うけど(この辺り、前回は台湾だとか中国のほうではそういう文学が一般的なのかな?と思っていたけど、訳者あとがきを見るにそれなりに特殊な例なのかなと理解した)。

他にも、語り手がよくわからなかったり、気づくと変わっていたりすることも含めて、最初は読みづらかったようなポイントが、だんだん作品としての面白さに感じられていった。

 

そして、「これは事実をもとにした小説である」と作者によって示されている。そうすると、ここまで書いた内容のいくつかに、納得するところがある。

例えば、何か自分に起きた嫌なことについて話そうとするとき、全然関係ない話をしてしまったり、直接的に言いたくなくてものすごく遠い言い方をしたりすることはあるし、加害者の言動がなんでもないことのように感じられるような「膜」が自分に形成されることがある。そういうような点で、被害を受けた人の、ある状態における感覚が、文章表現に反映されている部分がかなりあるんじゃないかなと、読み終わって感じた。

いくつか印象に残る文章があったので引用する。

この誰もが自分は負け組だと言いたがる時代に、世界には本当の負け組の女の子たちがいることを誰も認めない。この種のマイナーな苦痛は、実は幸福と表裏一体なのだ。誰もが小さな幸せを享受しながら、口では小さな苦痛に大騒ぎする――むき出しの苦痛を眼の前に出されると、自分の安堵が見苦しく、自分の苦痛が軽々しいものに見えてしまう。
(p.212、国語教師の他の被害女子学生がネットで暴露した際、擁護されるのではなくむしろ攻撃されたことを受けての文)

忍耐は美徳じゃない。忍耐を美徳にするのは、この偽善の世界が、その歪んだ秩序を維持する方法。怒りこそ美徳なのよ。(p.241) 

 なんかやっぱね〜学歴社会とか儒教的な思想って、立場の強いものにうまく使われてしまうことがあるよなと思った。被害を被害として認識しづらくなったりとか、今後の立場のために言えなくなったりとか……。

訳者あとがきでわかる通り、作者が意図的によくわかるように加害の様子を描写しているところがあるからすすめづらいけど、自分は読んでみてよかったなと思った。この本は出版された台湾で25万部売れたらしいんだけど、この本が話題になったときの社会の動きも訳者あとがきには書かれていてありがたかった。

 

 先月読んだエッセイの作者が書いた小説ってどんなかなーと気になり。ちょうどいい軽さでいい感じでした!他のももうちょっと読んでみようかな。

 返却するまで時間があったからもうちょっと読んでみたら、別にそんなに嫌じゃない作品も多かった。最初のだけ強烈に嫌だったっぽい(特に嫌な嫌さってありますよね)。次回は女性メインのやつ読むぞという気持ちで引き続きいる。

 

図書館に芥川賞直木賞の候補作作家の棚ができていて、いくつかめくってみた中でおもしろそうだなーと思って借りた本。第62回江戸川乱歩賞受賞作とのこと。グロいのあんま得意じゃないんだけど、ウワッ……とならずに読めたしおもしろかった。

選評を見ると、この作風を「新しい」と言うのはいかがなものか……という文脈で、辻村深月さんが「主人公の生きていた世界が綻びを見せ、全く違う虚構と現実の景色が開かれていくこの作品のような“新しさ”はすでに既存の小説の世界で名作がいくつもあり、そのパラダイムシフトはノベルスやライトノベルの現場で十年以上前にすでに起きていたと言う印象である」と書かれていて、あーたしかにこのぐるんぐるん展開はそういう感じある!と納得した。他の方から映像的という評価があったのもなんかわかるというか、自分は結構アニメっぽい感じで映像を再生して読んでたかも。と気づいた。テスカトリポカTLでかなり好評だから読んでみたいなー。

 

 少しずつ読んでいるところ!致命的に書けないってことはあんまり感じたことがないんだけど、着手するまでに時間をかけてしまいがちなので、いいヒントになりそう。迷いつつ寝る前も読みやすいkindleで買って、実際だからこそ読めているんだけど、図とかがちょっと見づらいとこがあるので、紙かでかい画面で読むのがいいかも。

 

 

 

 峰なゆかさん好きなんですよね!業界あるあるとかモザイク修正の変遷とか、普段知る機会がないこともポップに読めておもしろい。巻末対談も、微妙に話が噛み合ってないように感じる部分もありつついい感じだった。

 

ほしとんで、おもしろ〜〜〜〜〜〜〜〜。前からフォローしている人に読者がいて気にはなってたんだけど、読んだらキャラクターがかなり好きでよかった。俳句ゼミの学生の話で、俳句ってこういう風になってるんだなあ〜〜〜!と、楽しく読んでるだけで勉強になる。まあ先生と金子隼先輩が好きよね……。

 

ルックバック - 藤本タツキ | 少年ジャンプ+

読んで最初に思ったのは「漫画うますぎでは?」だった。2人の物語としてかなり好きだし、うわーこうやって漫画って描けるんだ……となったし。

(8/2追記 以下、こういうところは気になるけどこういうところはよかった……みたいなことを書いてたんだけど、内容に修正があったというのを知って読んだところ、結構話の質感が変わっていて、ここに書いていた内容の一部が当てはまらなくなっていて、そもそも感想書いたときに読んだ内容と違うものがリンク先にある状態で個人のブログに残してもな〜中身が変わってるからな〜となったので消しました)

 

・7月は、ハイトーンを売りにしてる美容院に行ってみた(どんな雰囲気のお店なのかが気になって。ハイトーンカラーにはしてない)。美容師さんの書いてる宣伝用の文章を読んで、この人なら合いそうかもと思う人に普通のカラーの予約をしたところ、予想通りあんまり元気すぎない感じの人で、とてもよかった。推してる施術内容の派手さに反して静かな美容院だった。普段ブリーチ毛を多く扱っているからか、髪の扱いがめちゃ丁寧で、自分がやるよりよっぽど丁寧だな〜と思いながら髪を乾かされたりした。自分が気になるだけなんで!って、ちょっとだけ襟足のところ切ってくれておもしろ優しかった。

・6月に結構がんばった結果疲れ、文字読むときにあんまり読めない感じがあったので、仕事はちょっとセーブしていた。早めの対処大事。こういうのがあると、かなり全体的に調子はよくなったとはいえ、没頭して全力でブンブン考えるような仕事だけにするのは(少なくとも今は)よくないな〜と思う。

・久しぶりに好きなアイドル全員でのコンテンツが出て、なおかつ内容も好きな感じで嬉しかったー。工場見学・職場体験系コンテンツが好き。

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