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とっちら

好きなことを取っ散らかします。

2015年10月最終週からの読書メモ

ここ最近読んだ本が、全部初めて読む作家さんの本だったのでしみじみ思いました。最初がいいと次も次も!となるけど、最初で合わないとちょっと次は……となるもんね。1冊目は大事。以下メモ。

 

宮沢賢治銀河鉄道の夜 他十四篇』

銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)

銀河鉄道の夜 他十四篇 (岩波文庫 緑76-3)

 

図書館で書庫から出してもらったら、まさかの旧漢字盛りだくさんなやつでした。銀河鉄道の夜ってところどころ原稿用紙がなかった部分があるみたいですね。そこの間になにがあったか教えてほしいよ〜みたいなところで抜けてて、そりゃないよ〜と思った。あとこれ絵本になってたと思うんですけど難しすぎません?

よく考えたら宮沢賢治は国語の教科書で「注文の多い料理店」読んでるんですよね。改めてこれも読んだけど、ひらがなの擬音がほどよく不気味でいいなあと思いました。

これはあんまり関係ないんだけど、下手な日本語ってかわいく聞こえるじゃないですか大抵。でもなんか、下手だけど不気味な日本語の間違え方ってある気がしていて(ガンツの「くだちい」みたいなやつとか)、そこの境目ってなんなんだろうなと思いました。日本語として間違ってるっていうか、なんだ、異世界迷い込んじゃった感があるかないかな気はするんですけど。変なのにそれが規則的で統一されてると異世界感が出て、こわいこわいってなるっていう。

話を戻しますと、「銀河鉄道の夜」読みたくなったきっかけが吉本隆明さんの講演音源だったので、あ〜やっぱり仏教っぽいよな〜うんうんと思いながら最後のところは読みました。人の善性を信じてそうだからこそ響くところはあるんだろうなあ。一番好きなのは「そしてみんながカムパネルラだ」ってところでした。この辺授業とかで扱ったら楽しそう〜!と思った。

 みんながめいめいじぶんの神さまがほんたうの神さまだといふだらう。けれどもお互ほかの神さまを信ずる人たちのしたことでも涙がこぼれるだらう。

 

宮下奈都『窓の向こうのガーシュウィン』 

窓の向こうのガーシュウィン

窓の向こうのガーシュウィン

 

 「十九年間、黙ってきた。十九年間、どうでもよかった。」と帯にあったので、「どうしようかなあ暗いかなあ暗かったらやだなあ」と思いつつ借りた。過去形ってことはそうじゃなくなった世界が描かれるかなあという期待もあったので。

読んでみて、こうほんわりしつつも切なく、でもあたたかくという感じだなあと思った。装丁が物語の雰囲気にぴったり。

主人公の佐古ちゃんが、ある気持ちのことを「あんころ」と表現するんだけど、それがすごく気に入った。たしかに!と思った。多分こしあんだと思う。なめらかで口当たりが良くてさらっとしていて少し残る。あんころは絶妙な表現だと思う。佐古ちゃんはその言い方をやめるんだけど。

文章の雰囲気を、知ってる作家で表そうとするのイマイチかなあと思うんだけど(そもそも知っている作家が少ないので)、近いものをあげるならよしもとばななかなあ、と思う。話のつらさとしてはよしもとばなな以上なんだけど、全体的にほわっとあたたかく包まれているので、よしもとばななの話にずっと流れているような冷たさがなくて、読みやすかった。

ほんとうは私たちが手にした以外の部分が重要だったのだとしても、どこに何が書かれていたとしても、いちばん知りたいことに私たちは出会うんだと思う。 

 

森晶麿『ホテル・モーリス』

ホテル・モーリス

ホテル・モーリス

 

 わたしはめちゃくちゃ好きだったけど、どうも評判はイマイチみたい。森晶麿さんは『黒猫の遊歩あるいは美学講義』という本で第1回アガサ・クリスティー賞を受賞したらしくて、そっちを好んだ人から不評なのかなあという印象を受けた。

わたしとしては、なんかアメリカンというか、海外の文学っぽい軽さでめっちゃおもしろいし引っ掛けられたし読みやすいしキャラはわかりやすいしでかなり好きだったんだけどなあ。テンポがよくて、映画っぽくもあったかも。言われてみればラノベっぽいかな?と思わなくもないけど、第一印象としてはどことなく流れる村上春樹の気配と藤沢数希感のが強かったかなあ。でもべたつかないのは舞台がホテルだったりギャングが出たりとカタカナが多めだったことも関係してそう。

先日イラストレーターの中村佑介さんが装画のコツをツイッターで話していたのを見てからすごくその効果を感じるようになったんだけど、この本も装画がぴったりだなと思った。宮原葉月さんという方が描いたもの。

ほんと、いい意味で軽くてとてもわたしに合う本だったと思います。いま読み返しているところ。他の本も読んでみたい。執筆ペースがものすごいらしい。

 

森博嗣『僕は秋子に借りがある』

僕は秋子に借りがある 森博嗣自選短編集

僕は秋子に借りがある 森博嗣自選短編集

 

 はじめての森博嗣だったので自選短編集にしたんですけど、フォロワーさんがすすめてくれてたのがなくてこれにしたんですけど、完全に1冊目として読むべきじゃなかった……と思いました。短編集なのに日をまたいだの初めてです。キツかった……世にも奇妙な物語の中で後味悪いやつを選んでみましたよっ!どうですか!って感じの本でした……

それでもおもしろいというか、内容が気になってしまって珍しく全部読んだんですけど、胃にくる。とにかく胃にくる。後味悪くないのは13本中2本くらいだったかな……。ラストがヤバいとかではなくて、物語のど真ん中あたりにえっぐいのを投げ込まれて、消化しきれないままなんか綺麗な文章であっさり終わっておい!おいっ!てなる感じでした。お前それだけでフォローできてると思ってるのか……?と思った

そしてなんか視覚的にも圧迫されたなあと思う。行をかえるのがすごくランダムというか、めちゃくちゃ短いところもあればすっっごく長く一段落で続けているところもあって、死ぬ!呼吸ができない!と思ったりもしました。ほんと終始苦しかったので、次読むのがこわくもあるんですが他の本にもトライしてみたいなとは思う。くやしいので。

 

そんな感じでした。森晶麿さんを知れたのが今回一番の収穫かなあ。