とっちら

好きなことを取っ散らかします。

初心者による初心者のための落語の楽しみ方

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わたしが落語を初めて聞きに行って、めちゃくちゃ好きになってからもうすぐ1年が経とうとしています。しかしまあ初めの一歩の踏み出しづらかったことよ。(そのときの感想はこちら→落語を初めて聴いた日(渋谷らくご 2014年12月14日20時回) - とっちら

そもそもどこ行けばいいのかな、おじいちゃんばっかなのかな、なんかこわそうだな、話わかるのかな…等々、なにかと不安でした。

今思えばまったく気にする必要がなかったことばかりなんですけど、このへんの疑問に対する回答があまりネットでは見つからない。むしろログ残してる人は落語プロみたいな人が多くて余計心配になる。

だから、今回は「落語に興味あるけど、具体的にどうしたらいいのかわからない!」みたいな人のために、わたしなりの落語の楽しみ方を紹介してみようかと思います。

 

わたしは

・都内在住

・いまは月1回くらいのペースで落語会に通っているけど

・「渋谷らくご(以下シブラク)」と「立川談笑一門会」という二つの会にしか行ったことがなくて

・落語自体の文化的背景・専門用語とかは特に詳しくない

落語研究会所属でもなんでもない

・ただの20歳女子大生

です。落語を聞きに行ったきっかけも「そういえば日本文化に触れてないなあ」くらいのやつ。そんなノリで行ってみたらめちゃくちゃおもしろくて、ほんとにあのとき勇気出してよかったなあと思います、大袈裟に聞こえるかもしれないけど!

 

前置きが長くなりましたが、具体的なお話に入っていきましょう〜!

びっくりするほど本文も長くなってしまったので目次つけときますね…気になるところのみ拾っていただくのがよいと思います!どうぞ!

 

1. 行く公演を決めます

日程の決め方

初めてだとここから難しいんですよね。いざ調べてみると、東京では毎日のように色々やってる。どこに行けばいいのかわからない。落語家さんについてもさっぱりわからない。(そんな方にはとりあえずシブラク行ってみるのがおすすめなんですが、)まずは

(自分の空いてる日)(場所)落語

とかで検索かけてみるのがいいんじゃないですかね。「10月13日 東京 落語」みたいに。大体スケジュールのまとめられてるページがでてきます。2015年10月ならこれとか。

落語家さんの決め方

 落語家さんが自分の好みに合うかどうかは、実際聞いてみないとわからないかなと思います。上手いけどそんなにだな、とか、下手だけど好きだなとか絶対ある。選ぶ噺にもよるし。

だから、もし初めて行ってみて「よくわかんないしつまんなかった」と思っても、せめてもう1回か2回、他の落語家さんのを見てもらえるといいんじゃないかな。落語が合わなかったんじゃなくて、演者さんが合わなかったという可能性は大いにあります。それで嫌いになっちゃうのはもったいない世界だよ…!

落語家さん自体については、プロフィールがあったり、場合によっては話してる動画があったりするので、そのあたりを参考にするのもいいと思います。検索システムに頼りましょう。

ツイッターやブログをやってる方も結構いるんですが、話すときと文章とでは結構雰囲気が違ったりするので、ほんと参考程度です。百聞は一見にしかずをヒシヒシと感じます…

(追記:地方の方の視点がないというご指摘を受けました、やはり生で観るのが一番とは思いますが、CDや動画等で楽しむことももちろん可能だと思います。その後、好きな落語家さんが見つかったときに遠征するというのもありではないでしょうか!地方でも落語会がないわけではないようですので、やはり検索等で情報収集するのがよいかと思われます!)

2. 行ってみます

とりあえず行ってみましょう。当日券でどうにかなることが多い印象です。30分前くらいに行っとくと安心安全なのかな。緊張しなくて大丈夫です、わたしたちは見るだけ。

受付

着いたら受付でお金を払います。場所によっては演者さん本人が受付してたりチラシ渡してたりでびっくりするかもです。舞台(高座といいます)に上がる人と、観る人の距離がめちゃくちゃ近いのも落語の特徴かも。緊張しなくて大丈夫、同じ人間です。

公演

大体1時間〜2時間くらいのものが多いかなと思います。長いものだと、中間あたりで仲入りという休憩時間がはさまれます。

休憩時間の長さは会によって様々かなと思いますが、シブラクの場合は1,2分なので、お手洗いは始まる前にすませておくのが吉です。トイレの数が少ない会場もあるので、どっちにしても早めに行っておくのが安心かなと。

なにかあれば、公演の途中でもそーっと抜ければ大丈夫です。反対に、遅れるのも大丈夫。演者さんが噺を終え、次の方に入れ替わる、あるいは一旦下がるときに合わせて入るのがいいと思います。

これも場所によりますが、飲食可能なところが多い印象です。それでも、あまりガサガサ言わないようにするなどの配慮は忘れずに。

終わったら

さくっと引き上げるのがよいと思います。わたしは初めて見たとき、情報量の多さと面白さの衝撃でしばらくボーッとしてましたが。

演者さんとお話してる方もいたりしますが、話さなきゃダメみたいな感じではありません。わたしはサッと引き上げて、「あの話のこのフレーズよかったなあ」とか思い出しながら歩くのが好きです。帰り道まで楽しくなる。

お友達と来ているなら、どこかお店に立ち寄って感想話すのもオススメです。めちゃくちゃ盛り上がります。

(3. 感想をネットに投げます)

やるのもやらないのもお好みで、という意味でかっこつきにしました。感想を書くなら、最適なのはツイッターかなと思います。投げるメリットをいくつか挙げるならば、

  • 主催者、演者さんに届く
  • お友達ができる
  • あとで自分が楽しめる

この3つが大きいかな。

主催者、演者さんに届く

ほんとにこれは人や会によると思うんですが、ツイッターエゴサーチしてる落語家さんや主催者さんは確実にいます。感想とか改善点とか上がってたら嬉しいんじゃないかな、という気がする。

そこまで考えないにしても、めっちゃいいなあと思った落語家さんにリプライ送るのもいいんじゃないですかね。きっちり届けたいならリプライで。そうじゃないなら普通のツイートで。という感じでわたしは使ってます。

お友達ができる

また、その落語家さんや落語会が好きな人も、主に自分が行けなかった会については検索をかけて情報を集めてる印象です。あ、もちろん自分と同じように感想をツイートしてる人もいます。

そこでつながりができれば、オススメの会や落語家さんを教えてもらったり、場合によってはご一緒したりすることになるかも。初心者としてはこれめちゃくちゃありがたいです。雰囲気とか場所(わかりづらいところもある)についても教えてもらえるので。

わたしもシブラクの感想をきっかけにお友達ができて、談笑一門会はその方に連れてっていただきました。終わったあとに、焼き鳥食べてお酒飲みながら感想話したのほんとにサイコーでした…ぜひあの感情を味わってほしい。

あとで自分が楽しめる

それと、最後はほんとにオマケ程度なんですけど。圧倒された直後の感情の動きをどこかしらにメモしておくと、読み返した時に「ああこんな話だったな」って思い出せて楽しいです。

落語は、ナマモノ特有の「お客さんと演者で作品を作り上げる」という性質がすごく強いです。お客さんの様子を見てその場で演目を決めることもあるし、内容を付け加えたり減らしたりもする。同じものは二度とないんですよね。だからこそ、感想残しとくと何かと楽しめるんじゃないかなと思ってます。

 

さて、こんな感じかな…!1回行ってしまえばその先のハードルは高くないんですほんとに。だからこそ、いかに1回目のハードルを低くできるか、その先に繋げられるかを自分なりに考えた結果このエントリになりました。

ひとりでも多くの人がこれをきっかけに落語見に行けますように!

ついでにシブラクは落語の前に話す部分、「まくら」の配信や定期的な生中継もしてて、次の中継は10月9日(金)の20時みたいです。詳しくはツイッターで@shiburakuをチェックするといいかも。

twitter.com

タイムシフトはないですが、時間さえ合えばどこでも無料で3000円弱の会が見られるというのは本当にありがたいです…わたしが落語を好きになったきっかけはシブラクだから、ほんとに感謝してるのでさらに広まって続いてほしい…

おまけで過去の自分に向けたQ&Aもつけとくので、興味があれば以下もどうぞ〜!

Q&A

古典苦手なんだけど話の内容わかりますか?

多分わかると思います。「今は昔、竹取の翁というものありけり〜!」みたいなバリバリ古典を話すわけじゃないので。講談はちょっとそれに近いところもあるけど…

落語の「古典」は、国語でやるような古典ではなくて、江戸〜大正時代に作ったもののことを指すみたいです。口調が江戸っ子だったり、わからない単語があったりはしますが、ほぼ現代の言葉とかわりません。

また、「古典」よりあとに作られた「新作」というものがあります。これは落語家さんが時代に合わせて作っていることが多いので大抵わかります、言葉としては。内容がシュールすぎて「!?!?!?」となるものもあります。それはそれでおもしろい。

 

話は戻りますが、たしかに古典には、現代の一般的な知識だけではオチ(サゲとも言います)の意味がよくわからないものもあります。ですが、正直サゲがわかんなくても、それ以前の部分でじゅうぶん楽しめます。わたしは帰ってからわかんなかったとこググってる。

で、そのあたりのことがシブラクでは結構配慮されてると思います。キュレーターのサンキュータツオさんが「初心者でも気軽に楽しめる」をテーマに掲げてるんですね。そういうわけで渋谷に行ける距離であれば、最初はシブラクに行ってみるのがいいんじゃないかなと思います。

事前に演目が出ている会もあるので、どうしても心配だったら先にネットであらすじをチェックしてそういう会に行ってみるのもいいんじゃないでしょうか。

でもドキドキ感を楽しみたかったら読まないほうがいいよ〜!予習ナシ、本番ぶっつけ、わからなければ復習がわたしの楽しみ方です!

 

一人で行っても大丈夫ですか?客層は?

むしろお一人様がかなり多いので余裕です。客層は会によって違うんじゃないかな…。二ヶ所しか行ったことがないので他のところはわかりませんが、シブラクは20〜30代っぽいお客さんが多いです。男女比も半々くらい。中学生らしき人がいたこともあります。渋谷だけあって比較的若い方が多いのではないかなと思います。

談笑一門会は一度しか行けてないんですが、30〜40代くらいの方が多そうだったかな。男性が多めだったかも。でも会自体がめちゃくちゃアットホームな雰囲気でほっこり楽しいです。こちらは吉祥寺。

 

落語って何を楽しめばいいんですか?どういう人が楽しめますか?

落語っていろんな観点から楽しめるんですよね…!ラジオ好きな人とか、舞台演劇などのナマモノが好きな人、それからアイドル好きな人も楽しめるんじゃないかなと思ってます。もちろんお笑い好きな人も、言語や文学が好きな人もかな…。ひとつ話が終わると、映画を1本見たような心地よい疲労感があります。

話の流れを楽しむだけじゃなくて、演者さんのクセとか表情、動きを見るのも、客席が一体となるのを楽しむのもいいし。座席の位置を変えてみるとめちゃくちゃ目が合う位置があったりとか。何が自分のツボにヒットするかわからないので、とりあえず一度行ってみたらいかがでしょう!

 

気をつけることありますか?

ガサガサ音を出さない、という以外は…そうですね、広い心を持つことですかね…。落語自体、愛をもってバカな人にバカというような面があるし、時には時事問題や政治・宗教についてこき下ろすこともあります。そのあたりも本当に演者さんによってスタンスが異なるので、試してみてくれとしか言えない…すみません…

追記:マナーとして当然のことではありますが、ケータイ等音が出るものの電源は必ず切りましょう!鳴ってしまうとこれまでの流れが途絶えてしまいます…!

 

オススメの会やら人やらはありますか?

 オススメできるほどいろんな会に行っていないのですが、シブラクと談笑一門会は間違いないです。初めてでも絶対話がわかるし、比較的入りやすいので。

人に関しては、すべて名前を挙げると多くなりすぎてしまうので、「3回以上見ている人」という条件をつけるならば

という方々が特に好きです。みなさんシブラクに出てます。

入船亭扇辰師匠、隅田川馬石師匠の落語には、大衆芸能であり伝統芸能でもある落語というものをビシビシ感じさせられます。初めて見ても「これはすごい!」ってわかるというか。サンキュータツオさんの言葉を借りるならば「純米大吟醸は下戸でも飲める」。女性を演じるのがすごく自然で上手だなあと思う方々です。

扇辰師匠は人情噺がめちゃくちゃ似合います。ストーリーにどんどん聞き入ってしまって、最後には涙がほろり、というかんじ。聞き惚れるというのかな。話それ自体の美しさを最大まで引き出している気がします。「この人すごいな」と「この話すごいな」を同時に感じさせてくれるんです。

馬石師匠はこのエントリの最初に載せた「時そば」を演じてる方(公式動画でしたがリンクが切れてしまったので、気になる方は「落語 動画」などで検索かけてみてくださいね)。多分「おかしみがある」というやつなのかな、滑稽噺がすごく似合います。とぼけた表情はめちゃくちゃかわいらしくて、普段はどういう人なのか興味がわいてくる。馬石師匠が演じるおバカさんは愛せるし、何をやらかしても許してしまいそうです。

神田松之丞さんは落語家ではなくて講談師なんですが、とにかくアツくてヤバい。思うところがたくさんあるのに毎回感想が「ヤバい」「すごい」とボキャブラリー貧困になってしまいます。言語化できないなにかがあるんじゃないかな…。松之丞さんの新作にとりわけ「ヤバい」のがあって、それを是非紹介したいんですが長くなるのでそれについてはまた今度。

 

めちゃくちゃ長くなりましたが、一応これで終わりです!ありがとうございました!